あなたは「グロースハッカー」になれるか?

クリスマス前ではありますが、今日は、ちょっと同業者向けの話になりそうです。
というのは、日経BP社の新刊、ライアン・ホリデイ著の「グロースハッカー」を読んだからです。
僕たち広告やプロモーション、マーケティングに関わる人は、今後このグロースハッキングを意識しないと、淘汰されてしまいそうですね。

グロースハッカーという言葉は、少し前からシリコンバレーを中心に出てきたバズワードですが、狭義では「ITエンジニアとマーケターのハイブリッド」のようなイメージで使われていました。
つまり、コーディング能力と技術的な知識を備え持つ次世代マーケターのような感じです。

たとえば本書には、こういう定義がされています。
「グロースハッカーは、伝統的なマーケティング戦略を放棄し、検証・追跡・測定が可能なものだけを用いる。彼らの武器は、CMや宣伝や資金ではなく、電子メール、PPC(ペイパークリック)、ブログ、プラットフォームAPIだ。古い世代のマーケターが「ブランディング」や「マインドシェア」などの漠然としたものを追い回している間、グロースハッカーはひたすらユーザーと成長を追跡する」

そして、どんな業界のマーケターも、新製品の立ち上げでは派手な花火を打ち上げて「ショービジネスを気取りたがるが、そうした幻想は非常にまずい」と説かれています。
ショーが当たるかどうかわからない、当たっても何が要因かわからない。
そういったギャンブルは、とんでもなく非生産的だというわけです。

これは僕が著書「ロングエンゲージメント」で主張していた、「単発の花火を打ち上げる瞬発力より、データを駆使して顧客とつながり続ける持続力が重要になる」という考え方と同じだなとも思います。

マーケティングで一番やってはいけないことは、「誰も欲しがらないものを売ろうとすること」です。
でも、パッとしない製品やサービスでも、それを売り込んでこそ、マーケター(含む広告会社)の仕事であるというような、変に間違った思想もあったりします。
でも本来は、そこに気づいた時点で、製品やサービスの改善に立ち戻るべきなわけです。

本書では、宿泊予約のエアビーアンドビーや、ドロップボックス、エバーノートやインスタグラムなど、今をときめく成長企業が、ことあるごとに提供する製品やサービスに立ち戻って改善を続けてきた事例が提示されます。
本来は、そこまで含めてマーケター、つまりグロースハッカーの仕事というわけです。

そこが改善されたなら、広告やプロモーションは非常にシンプルになっていきます。
たとえば、エバーノートなどは、プロモーション以前に、まずは誰もがメモとして使いたいという次元にまで、徹底的に製品改善を行いました。
その上でユーザーからの「使いたいけど、打ち合わせ中ノートPCを開いていると上司などから睨まれる」という不満に耳を傾けます。
で、その解決策としてノートPCに貼ってもらうステッカー「失礼なわけではありません。エバーノートで議事録を書いているんです」というものを配布したわけです。

evernote stichers

こういったシンプルなアイデアを、広告やプロモーション、ましてやマーケティングなどと考えたくない人もいるかもしれません。
でも、常に事業を成長させるという使命を負っているのであれば、成長に役立つものが「製品やサービスそのものの最適化」であれ、「シンプルなアイデア」であれ、どうでもいいわけです。

ということで、グロースハッカーとは単に「ITエンジニアとマーケターのハイブリッド」を指すだけのものではありません。
文字通り、「成長請負人」というわけです。
本書にもありますが、「マーケティングとは顧客の獲得。そう考えれば、顧客を獲得するための行動すべてがマーケティングである」という当たり前の考えを、グロースハッカーというバズワードは再確認させてくれるわけですね。

ということで、これからの時代、旧来のマーケターもグロースハッカーになれるかどうかが問われます。
僕やあなたは、グロースハッカーになれるでしょうか?

もちろん、エンジニアとしてのコーディングのスキルなどは、ある程度あった方がいいでしょう。
でも本書では、もっと大事なことが記されています。
それは何も難しいことはではありません。

「グロースハッカーになれるか?それはマインドセット=考え方を変えられるかどうかに尽きる」と述べられているんですね。
うん、その通りだと思います。

ということで、今日は、このへんで。