セヴァン・スズキの「地球のなおし方」を聴いてきた!

みなさんは、セヴァン・スズキさんを覚えていますか?
1992年、当時12才、カナダの少女だったセヴァンさんは、リオデジャネイロで開催された「地球サミット」に出席し、今でも語り継がれる伝説のスピーチを披露しました。

「どうやってなおすか分からないものを、壊し続けるのはもうやめてください」

世界の大人たちに、地球の環境破壊や貧富格差に対する意識改革を訴えたのです。
当時、僕は社会人1年生になったばかりで、「さあ、稼ぐぞー」と意気込んでいたため、このメッセージにものすごく衝撃を受けました。

その後は、エール大学で生物学を学び、国連委員やNGO代表などを歴任。
環境運動家として精力的な活動しながら、結婚をして一児の母になったセヴァンさんですが、なんと今、来日しています。
で、昨日、その講演を聴いてきました。

以下、ちょっと長いですが、その内容を要約しつつ書き起こしました。

ーーーーーーーーーーーー
こんにちは、セヴァン・スズキです。
私は昨年、「ダウンシフト=生活減速」して南の方に移住しました。
原生林の中で、ハイダグアイ族という民族のコミュニティの一員になりました。

実は、この時期、こんな都会である日本に幼い子供を連れてくることを悩みました。
原発事故もあります。
日本とカナダは、遠いように思えて、海を隔てて隣同士です。
原発事故は生みの向こう側の私たちも関心事なのです。
やはり、いろんな問題の根幹はエネルギー問題のようですね。

私たちは、かつてない異常気象を迎えてますね。東京の大雪もそうかも知れません。
この気候変動は人為的なものが原因だと、いよいよ認めざるを得なくなっています。
もはや、そんなこと議論している時期ではないですね。
すぐに行動しなければならない状況です。

でも、本当はこういうのって、政治家の仕事じゃなかったのでしょうか。
私はリオでのスピーチの時、まだ政治家や世界のリーダーの力を信じていました。
だから、彼らに訴えたのです。
でもその後20年で分かりました。
政治家たちは、すでに巨大企業の支配下にあるということです。
たとえば、米国のウォルマートの売上は、GDPにすると世界で25位の国の規模になります。
こんな巨大な組織体でも企業である以上、その使命は利益を株主に還元することです。
市民の生活に責任を負うものではありません。
政治家たちは、こういった大企業の利害に支配されています。
世界の指導者たちは、私たちを良い方向に導く力も気力もなくなっているのです。

でもそんな中、対照的に、市町村やあちこちの地域で草の根レベルでの政治的なリーダーシップが生まれ、かつてないほど盛んになっています。
あちこちに持続可能な町が姿を現しつつあります。
ブラジル、パルマス銀行はすでに地域通貨をサポートしています。
イギリスのブリストル市では、市長が自分の給料を全額地域通貨で受け取っています。
バンクーバーでは、若者達のなかで一番カッコイイ職業は、都市農業です。
ブータンは本当の豊かさを世界に投げかけています。
トランジションタウンのネットワークが世界中に広がってますよね。
今回、日本でもスロームーブメント、脱成長ムーブメントが盛んになりつつあると知りました。

世界にはシステムがあって、人々が同じ枠組みで生きているように見えます。
でも、古いシステムも決して楽ではないようです。
最後のあがきに必死で、すべては今まで通りにいくという幻想を作ろうとしています。
変わらず経済成長を唱え、時間を稼いでいるように見えます。

カナダでも失業問題が深刻です。
でも、カナダでも世界中でも若者が自分たちの状況に意思表示をはじめています。
アラブの春やウォールストリートのオキュパイ運動。その兆しは至る所で見られます。
注目すべきは、彼らが一部の活動家でないことです。
一般の人から科学者、経済学者でさえ、大きな転換を呼びかけ始めています。
何かが起こっているのです。

さて、同じエネルギーでも、違う意味のエネルギーについて話したいと思います。
私たちの心のエネルギーについてです。
希望とは、何でしょうか。
希望とは変化を欲するエネルギーだと思います。
望んだ結果を作り出すエネルギーなのです。
それは、苦しい時、苦難のときにやってくるものです。
戦争、飢饉、伝染病の時にやってくる、人類を生き延びさせてきた力です。

たとえば、奴隷という立場を想像してみましょう。
人間にとって、奴隷ほど絶望的な立場はないでしょう。
彼らは、どうやって生き延びたのでしょうか。
心理学者によると、絶望的な状況になる程、希望が働きだすメカニズムがあるそうです。

マーチン・ルーサーキングは奴隷の子孫でした。
でも、彼は希望を失っていなかったでしょう。
そして、あれから僅かひと世代で、黒人の大統領が誕生したのですよ。

到底不可能だと思われることがあっても、想像力を閉ざしてはいけません。
希望と愛は結びついています。
現代社会は経済原理によって動いていますよね。
でも本来、私たちは、経済原理とは全く違う原理によって動くことを忘れてはいけません。
その最も強大な原理が、愛の力です。
お金も人を動かすモチベーションでしょう。
でも愛は、それとは全く違う方向に人を動かすモチベーションなのです。

1992年のスピーチの時、私は12才で、両親の子供でした。
そして今、私は母親になりました。
今になって、なぜあのときのスピーチを大人たちが熱狂的に受け入れてくれたかが分かるようになりました。
それは、子供に対する親の愛ほどパワフルなものはないからです。
全ての人々の心にある、次の世代に対する巨大な責任を思い出させたのでしょう。
次世代への愛が、私たちの中に希望を作り出すことを知ったのです。
さあ、愛と希望の力で新しい社会を導いていきましょう。
ーーーーーーーーーーーー

という内容でした。
僕の書き起こしでは雰囲気までは伝えきれないと思いますが、セヴァンさんは、非常に優しく説得力のある口調で語ってくれました。

彼女は、人々に使われるか分からないまま見切り発車される大量生産や、人々に食べてもらえるか分からないまま食用に殺される動物たちを救えないシステムに、問題提起をしています。

一見すると、僕は今、この主張と相反することを仕事にしているようにも思えます。
でも、広告コミュニケーションには、単純な大量生産と大量消費を煽るだけのものとは違うカタチがあるはずだと考えています。

大企業の行動原理だって、根源は生活者のニーズにあります。
人々の望みが先にあっての、企業活動なわけです。
ならば、やっぱり人々の意識改革で世の中は変えられるはず。
広告コミュニケーションには、そういったビジョンある生活者と企業の関係構築をサポートする力があると、僕は信じているわけですね。

この素晴らしい講演イベントを主催され進行を担当されていた「ナマケモノ倶楽部」世話人の高坂勝さん方々のお話もとっても有意義でした。
高坂さんの自伝書を紹介させていただきますね。

すみません、たいへん長くなりました。今日はこのへんでー(^^

セヴァンさんと