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現地速報:カンヌライオンズ2015 その4

カンヌヨットハーバー

7日間に渡って開催されたカンヌライオンズも昨晩でフィナーレを迎え、終幕の運びとなりました。
中盤の中だるみから一転、クライマックスである最終日の授賞式はものすごい混雑。
メイン会場に入りきれない人たちを隣のドビュッシーホールでの中継視聴に誘導するも、そのドビュッシーからも人が溢れるという状況でした。

さて、昨晩はブランデッドコンテンツ&エンタテインメント、フィルムクラフト、チタニウム&インテグレイテッド、フィルムの4部門の発表でした。

ブランデッドコンテンツ&エンタテインメントは、「アイスバケツ・チャレンジ」他、ゴールドは多くの受賞がありましたが、グランプリは該当なしと発表されました。
ゴールド受賞の中で僕がもっとも惹かれたのは、WATER FOR AFRICAという団体の「THE MARATHON WALKER」という施策。
これは、グラス部門などでもゴールドを受賞していました。
毎日飲料水を汲むため、フルマラソンと同じ距離を歩かなければならないアフリカのある村の女性が、井戸を掘る募金を募るため頭に水のタンクを乗せてパリマラソンを歩いたというもの。
こういう身を挺して世に訴える系に、僕、弱いんですよね。
エントリーされていた映像がすごく泣かせるのですが、見当たらないのでこのニュース映像を紹介します。

次はフィルムクラフト。
グランプリは、イギリスの百貨店ジョンルイスのクリスマスCM「MONTY’S CHIRISTMAS」。
クリスマスを前にした少年とペンギンの物語です。
審査委員長が「もっとも審査員みんなの心の奥にまで届いたもの」と言っていましたが、ホントこれ、やばいです。
ジョンレノンの「Real Love」のカバーせいもあって、僕は見るたびに泣いてしまいます。

次はチタニウム&インテグレイテッドですが、まずはインテグレイテッドのグランプリとして、NIKEが実施した「RE2PECT(リスペクト)」が受賞しました。
これはNYヤンキースのデレクジーター選手の引退に敬意を示した施策で、RESPECTのSが「2」になっているのはジーター選手の永久欠番になった背番号を表しているものです。
様々な有名人が帽子に手を触れるジェスチャーで、ジーター選手の功績に敬意を送るものです。

そしてチタニウム部門。
これは、最も先鋭的でクリエイティブの未来の可能性を評価する賞なので、僕は一番楽しみにしていました。
で、グランプリは、米国ドミノピザの「Emoji(絵文字)Ordering」という、ツイッターでピザの絵文字をツイートして注文できる施策・・・。
この発表を聞いた時、正直「???」となりました。僕の理解不足でしょうけど。

もしかすると、人間は思考のわずか5%しか言語化できていないという説があるように、残りの95%の非言語領域のコミュニケーションに切り込んだことが評価されたのかもしれません。
僕も、もうちょっと理解を深めます。
でも、ドミノはいつも面白いことにチャレンジしますよね。

そしてフィルム部門。グランプリは2つ出ました。
ひとつは、ライカカメラの「100」というフィルム。
ライカ100周年とブラジルでのギャラリーオープンを記念して、歴史に残る100枚の写真を動画で再現したものです。
ここでも、ジョンレノンが登場してますね。

そしてもうひとつ。前評判の高かった米国自動車保険GEICOの「UNSKIPPABLE (アンスキッパブル)」が、ついにグランプリ受賞です。
これはYouTube動画の前に流れる広告としてスキップされてもいいように、60秒のうち最初の15秒で全部言い終えてしまうというフィルム。
そして言い終えた後が面白い。ついつい最後まで見てしまいます。
シリーズ展開していますので、興味があれば検索してみてください。

さて、これで速報としてのカンヌレポートは終わりです。
前半のアクティベーション系の施策とがらりと変わって、後半は映像でのストーリー展開するコンテンツに魅了されました。

ここから得られた示唆や総括は、またどこかでやれたらと思っています。
毎日のお付き合いありがとうございました。
そろそろ、日本に帰りますね。
今日は、このへんで(^^

現地速報:カンヌライオンズ2015 その3

8日間に渡るカンヌライオンズでは、そろそろ中だるみ感が出てくる時期ですね。
いつも人でごった返しているセミナー会場やアワードでも、比較的席に余裕がある感じがします。
一方で、周囲のレストランなどは昼間から酒盛りが始まっていたりとか。
こういうのは、世界共通なんでしょうかねえ。

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さて、昨晩は、ラジオ、デザイン、プロダクトデザイン、サイバーの4つの部門の授賞式でした。
まずは、ラジオ部門。
グランプリは、SoundCloudというドイツの音声ファイル共有サービスが実施した「The Most Unbearable Radio Ad」というものでした。
これはベルリンの壁崩壊25周年を記念に、当時のさまざまな音源をミックス。そのデジタル上の波形が、ベルリンの壁を表現するデザインになっているというもの。
わざとでしょうがその音は、銃声とか悲鳴とかがミックスされて、すごくオドロオドロしい感じに仕上がっています。

ラジオ部門は、ラジオCMという表現で考えると、日本からいちばん疎い部門かもしれません。
しかし今回のように、ラジオメディアの新しい体験をつくるというふうに考えていくと、もっと日本でもやれることがあるかもしれませんね。
3年前にブラジルのGo outsideという雑誌が、蚊をよける超音波ラジオCMでグランプリを獲ったことがありましたが、あれをちょっと思い出しました。

次はデザイン部門。
グランプリはボルボUKの「Life Paint」。
プロモ&アクティベーションに続いて2冠目です。本当にボルボ強い。
自転車事故を防ぐためヘッドライトに反射するスプレーですが、前回紹介したので、省略しますね。
ちなみに、デザインは日本勢がもっとも活躍する部門で、ゴールドではJR東日本の「行くぜ、東北」など3つの受賞がありました。

次はプロダクトデザイン部門。
グランプリは、カンボジアで実施された「The Lucky Iron Fish Project」です。
カンボジアでは国民の半分が、鉄分不足に悩まされているらしいです。
知らなかったのですが、認知症とか成長障害へと影響するらしい。
そこで現地で幸運の象徴である魚の形をした鉄のかたまりを販売し、調理鍋に入れて料理する習慣を普及させたというものです。
しかし、世の中には僕らの知らない課題が満載なんですねえ。

そしてサイバー部門。
グランプリは、米国のスポーツブランド、アンダーアーマーの「I Will What I Want」です。
ブラジル人モデルがこのCMに起用されたとき、SNSが誹謗中傷で炎上。
これを逆手にとって、そのメッセージをスタジオに投影して、彼女がキックやパンチ、竹刀を振り回したりしてやっつけていくという企画を実施、これがまた話題を呼ぶというループを実現しました。
「I Will What I Want」のコピーとうまくマッチして、より強いブランドメッセージになっていますね。

まだ中盤ですが、ちょっと潮流が見えてきましたね。
これまでのソーシャルグッドはもっと日常的なハピネスの追求をしていましたが、今回は世界のさまざまなところにある、人間の生き死にだったり、女性の偏見払拭だったり、ものすごく生々しい課題の取り上げに傾向してきたように思います。

意地悪くいえば、世界中に眠っている僕らの知らないような課題をいかに見つけてくるかに、みな躍起になっているようにもみえます。
課題発見の大航海時代ですかね。

今日はこのへんで(^^

現地速報:カンヌライオンズ2015 その2

カンヌでは、各エージェンシーごとにだいたい集うお店が決まっています。
昨晩は博報堂さんが集うお店で、みなさんと語り合いました。
言い訳になりますが、毎晩の授賞式の後はその意義を語り合うという名目のもと、深ーい酒盛りがあり、完全な速報になりません・・・お詫び申し上げます。

さて、昨晩の授賞式は、アウトドア、クリエイティブ・エフェクティブネス、 PR、新設のグラス(男女差別や偏見問題)、メディアの5部門でした。

まずはアウトドア部門。グランプリは、米国アップルの「World Gallery」、東京でもよく見かけた「iPhone6で撮影しました」というやつです。
一般ユーザーがSNSに投稿したものをあちこちのアウトドア媒体に掲載するものですが、これだけ世界展開しているというのは僕も知りませんでした。
シンプルなアイデアですが、その規模を考えると評価は納得です。

次は、クリエイティブ・エフェクティブネス部門。
この賞はちょっと地味ですが、昨年の受賞作からその効果を評価するもの。
グランプリは、ボルボトラック(スウェーデン)の「Live Test Series」、あのジャン=クロード・ヴァンダムが足開くので有名なシリーズですね。
しかし、結果論かもですが、ボルボのグランプリが続いてますね。
最近、自動車メーカーの中ではブランド力が際立っているように感じます。

次はPR部門。グランプリはついにでました、P&Gの生理用品Alwaysの施策「#LikeAGirl」です。
これ、事前の期待がすごく高かったので、グランプリ発表のときには拍手喝采でした。
女性自身が初潮を境に、女性というものに偏見をもってしまう様を浮き彫りにしたもの。
女性にとって、もとは活発な女の子だったことを思い出し、勇気づけられるものでしょう。

2年前のFBI捜査官の似顔絵施策「Real Beauty Sketches」の手法に近いですよね。
あれも、女性を勇気づけるものでした。

そして新設のグラス部門。
これは男女差別や偏見にどこまでクリエイティブが立ち向かえるかのチャレンジですね。
発表前、審査委員長のシンディ・ギャロップさんが部門創設の意義に熱弁を振るっていました。

事前には「#LikeAGirl」のグランプリが予想されていましたが、受賞したのは、P&Gインドのこれまた生理用品、Whisperの施策「Touch the pickle」でした。
インドにいまだに残る「生理中の女性がピクルスの漬け物壷にさわるとピクルスが腐る」というとんでもない迷信を払拭するためのスローガンです。

グラス部門はこの他、「#LikeAGirl」を含めた8つほどの施策(正確な数忘れました・・)にグラスライオンが与えられました。
しかし、確かに課題は重要なものを扱っているのですが、どうもそのアイデアに切れ味がないような、既視感があるような。。。
まあ、新設時は課題を課題として取り上げることに意味があるということで、こんなものなのでしょうか?

そしてメディア部門のグランプリは、Vodafoneトルコが実施した「Red Light Application」。
DV被害の女性が、危険を感じたときに友人に緊急連絡を発信できるアプリです。
なぜメディアグランプリかというと、このアプリの存在を男性に知られないように、女性だけが見るメディアを選りすぐって告知していったからです。
たとえば、女性トイレや、女性用下着や脱毛テープなどなど。

この部門の審査員をされた博報堂の安藤さんに話を聞くと、これはResultに絶大な評価があったとのことでした。
つまり、そういったメディアを選択した結果、実際にアプリのダウンロードで成果を出したから、と。
しかし、これだけ徹底的に王道メディアを避けた施策がグランプリって、考えさせられますねえ。

こちらはオマケ。
メディア部門のゴールドだったアイスバケツ・チャレンジの受賞で、きっかけを作ったご本人家族が登場。
会場は、スタンディングオベーションとなりました。

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カンヌはまだまだ続きます。
今日はこのへんで(^^

現地速報:カンヌライオンズ2015 その1

今年もカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルに来ています。
昨年参加できなかったので、2年ぶりですね。

それにしても、南仏のコードダジュール沿いは、本当にすばらしい気候です。
目も開けられないくらいの眩しい陽とカラッとした空気。
その恩恵で食材に恵まれて、ワインやシーフードもびっくりするくらい美味しい。
いや、ここで広告祭をやろうと最初に目をつけた人に感謝するしかないですね。

カンヌ2015

さて、業界の潮流については、電通報という社のサイトにレポートしているので、こちらでは受賞の速報をしていこうかと思います。
昨晩はプロモ&アクティベーション、プレス(プリント広告)、ダイレクト、モバイルの4部門の発表がありました。

プロモ&アクティベーション部門のグランプリは、ボルボUKの「Life Paint」という施策。
ボルボは自動車と自転車の接触事故を防ごうと、ヘッドライトに反射して光るスプレー塗料を開発。
自転車に乗る人に使ってもらって、事故を減らす活動をしたというも。
自動車を売っていくための社会責任は、ここまで来てるんだなあと考えさせられますね。

プレス部門のグランプリは、ブエノスアイレス市の24時間自転車レンタルサービスの広告「Never Stop Riding」。
前輪と後輪の関係で、ずっと走り続けるということを表現したものですが、うーん、そんなに面白いかなあ。。。すみません。

never stop riding cannes

ダイレクト部門のグランプリは、米国ボルボの「Interception=アメフトで相手からボールを奪うこと」でした。
これは、アメリカのスーパーボウルの時に実施されたヒット施策ですね。
他の自動車メーカーのCMオンエア中に、ボルボ車をプレゼントしたい人の名前をツイートすると抽選で新車が当たるというもの。
以前、ペプシコーラがスーパーボウルのスポンサーを降りて、その予算でボランティア支援を始めた事例がありました。
今回のボルボもスポンサーを降りたあとの施策ですが、もっと直接的にその予算を使ったわけですね。まさにダイレクト。

モバイル部門のグランプリは、米国グーグルの「Card board」という施策。
段ボールのゴーグルにスマホを入れると簡単にヴァーチャル体験が楽しめるようになるキットを、サイトで配布しているものです。
テクノロジーサービスをこういうアナログなものと組み合わせるところが面白いということでしょうか。
うーん、これもなんか微妙ですね。

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ちなみにこの日、会場を一番湧かせたのは、ダイレクトのゴールドを受賞した、MARC DORCELというアダルトビデオサービスの「#HANDSOFF(ハンズオフ)」という施策。
ネットでアダルトビデオの視聴が無料でできるが、その条件として両手をキーボードの上に置いておく(ハンズオン)必要があるというものです。
手を離すと映像が消えてしまいますが、#HANDSOFFの入力でこの条件が解除されるとともに課金されるというもの。
ホント、よく考えますよねえ。

という感じで、今のところの傾向としては、ものすごく斬新なアイデアで切り込むというより、小さなアイデアを丁寧にやりきるというものが多いように思います。
まだまだ続きますが、今日は、このへんで(^^

「あることがない」を見つけるシャーロック・ホームズの視点

久しぶりに時間ができて、シャーロック・ホームズなんかを読み直したりしていました。
僕はビジネス書ばかり読んでるように思われがちですが、文学も結構読みます。
特に推理小説の古典は、クリエイティブな視点を養うのに、すごく有益だと思うんですよね。

シャーロック・ホームズの視点は、野口悠紀雄さんのエッセイ「超整理日誌」にも取り上げられていますし、僕の著作「学校でも会社でも教えてくれない企画プレゼン超入門」でも紹介しています。

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有名なのは、「白銀号事件」ですね。
イギリスの競馬界が舞台で、「白銀号」という競走馬にまつわる話です。

白銀号の調教師がレースの直前に謎の死を遂げます。
事件を依頼されたホームズは、トレードマークのルーペを片手に現場検証を始めます。
そして、関係者が見向きもしないような情報を丁寧に集めながら、ひとつの事実に光を当てるのです。
それは「番犬が吠えなかった」ということ。

ここでホームズとグレゴリー警部のやりとりがあります。
「あの晩の、犬の不思議な行動が解りますか?」
「えっ、犬は全然何もしなかったはずですが」
「そこが不思議な行動なんですよ」

ホームズが注目したのは、番犬が何もしなかったということです。
もし侵入者があれば、犬は吠えたはず。
それがなかったということ。
ホームズはこれを掘り下げていき、身内の犯行であることを突き止めます。

ホームズの視点から学べることは、「あるはずのものがないこと」を見つける力です。
普通、「ないはずのものがある」場合は、大抵の人は気づきますよね。
安定推移のグラフがいきなり変化するとおかしいと気づきますし、官邸にドローンが落ちていてもおかしいと気づきます。

しかし、「本来あるべきものがない」ということを見つけるのはなかなか難しいものです。
そして「あるべきものがない」という情報の方が、価値があることが多い。
たとえば「長者番付」なども、載っている人はいいとして、「なぜあの人が載っていないのか?」の方にこそ、興味と価値があるわけです。

僕は、マーケティングに携わる仕事をしています。
以前は、生活者調査とその分析からマーケティングの解を見出すことに大きな価値がありました。
でもツイッターなどのSNSが普及して、クライアント企業を含めた誰もがその気になれば、生活者の一次情報を手に入れられる環境になっています。
ならば、調査と分析だけで価値を提供するのは難しいわけです。

この環境で、マーケティングのプランナーが価値を提供できるとすれば、それは「視点の提供」です。
そのひとつがホームズのような「本来あるべきものがない」という発見なわけです。

クライアント側は、長年その分野で活躍してきたプロです。
そこに対して、これまでのような調査や分析だけで価値を提供するのは、もはや難しいでしょう。

しかしもしかすると、相手にとっては長年「ないことが当たり前」だと思っていることがあるかもしれません。
そんな場合、新しい視点として「本来あるべきはずのことがありませんよ」と示せれば、相手はとても驚きます。
それを埋めるアイデアを出せれば、説得力のある企画になるでしょう。

大げさに言えば、「人に見えていないものを見い出す力」ということでしょうか。
これが、プランニングの一歩だと思います。
そんな、自分にとってのホームズのルーペが欲しいですね。

今日はこのへんで(^^

プラットフォーム戦略。合コンで得をするのは誰か?

僕はよく企画で「プラットフォーム戦略」という言葉を使うのですが、たまにどうも話が噛み合ないということがあります。
たぶん、プラットフォームという言葉の解釈が違うんでしょう。

プラットフォーム戦略は、シンプルですが、すごくパワフルなものです。
ずいぶん前の本ですが、「プラットフォーム戦略/平野敦士・アンドレイハギウ著」では、合コンを例に説明していて、とても分かりやすいです。

合コンは、ビジネスでいうと「婚活パーティ」や「お見合いクラブ」というものになるのでしょう。
このビジネスモデルはシンプルにいうと、例えば男性1万円の参加費、女性は無料として、男女グループをマッチングさせる「場」を提供するというもの。

幹事である自分は特に魅力的なサービスがなくても、魅力的なメンバーを集めることで、その場を魅力的なものにするというものです。

さて、この戦略で噛み合なくなるのはここなのですが、この場をどういうしつらえにするのがよいかという問題です。
1万円という参加費を支払う男性をもてなすのか、無料で参加する女性をもてなすのかということ。

通常のビジネス発想だと、お金を払ってくれる男性がお得意様であり、もてなす対象です。
合コンの場は、料理もインテリアもBGMも、みんな男性向きにするべきだと考えるでしょう。

でも、プラットフォーム戦略では違います。
無料で参加する女性の嗜好を優先するのです。
料理もインテリアもBGMもみんな女性向きということ。

なぜでしょう?
男性趣味の場は、はじめは男性は集まりますが、そのうち肝心な女性が集まらなくなってきます。
これではビジネスは破綻しますね。

一方、女性趣味の場は、たえず女性が参加しつづけてくれます。
なので、それを目当てとした男性もたえず集まりビジネスは継続していくということになります。
実際に、前者の会社は破綻し、後者はうまくいっているという話を聞きました。

つまり、プラットフォーム戦略では、場を維持するためのエコシステムを構築することが大事なのです。
この原理さえ理解していれば、合コンというビジネスで、幹事が一番得することが可能になるわけです。

スライド1

僕の話に戻すと、場のしつらえを男性向きにしようとする人たちに、「いや、女性向きにしないとダメです」と説得することが多いということ。

話を大きくすると、グーグルだって、フェイスブックだって、アマゾンだって、アップルのiTunesだって、みんな無料でつかっているユーザーの方を向いています。
さきほどの本には「モノづくり大国だった日本が凋落した原因のひとつはこのプラットフォーム戦略の欠如だ」と書かれていました。
プラットフォームの原理を理解することも大事だし、もはやモノ単体の価値ではなくプラットフォームの一部としてどういう価値があるかが重要だと理解することも必要なわけです。

広告会社も、かつてはクライアント企業とメディアをつなげる、いわばプラットフォーム的な役割を果たしていました。
この場合(誤解を恐れずにいうと)、メディアを好待遇することで枠を確保し、クライアント企業から出稿をいただいていたわけです。

でも、インターネットの登場以降、時代は変わって、広告会社はクライアント企業と生活者をダイレクトにつなげることが可能になりました。
プラットフォーム戦略を考えるならば、広告会社は、企業と生活者のマッチングの場を提供する必要があります。
その場合、生活者に向けたしつらえをどれだけできるかということになっていくわけです。

生活者とダイレクトにつながって、オーディエンスデータを保有して、それをネタに企業やメディアを誘致する。
生活者に直接コンテンツが届けられるのなら、クライアント企業やメディアですらもこのプラットフォームを活用すると思うのです。

広告会社は合コンの幹事だ。
と、僕、もうずっと昔からこの話をしているのですが、業界周辺で目立った動きがないような・・・。
僕が知らないだけで、どこかでちゃんと進んでいることを願うばかりです。
今日はこのへんでー(^^

※詳しくはこちらをお薦めしますー

40代は広告業界で中途半端か?

自分のキャリアについて普段なんとなく感じていたことが、佐々紀彦さんの著書「5年後メディアは稼げるか」に、うまく言語化されていました。
それは、「今この業界で、40代というのはなんとも中途半端ではないか?」ということです。

本書は、新聞や雑誌などの紙メディア業界をテーマにしたものですが、広告やテレビなど、提供サービスがデジタル領域へシフトしていく業界では同じでしょう。
デジタル化といっても、単に今まで紙だったものがウェブサイトになるというようなことではありません。
デジタルが戦略のコアになって、あらゆる企業活動がデジタルを起点とするものなるということですね。
もっと言えば、デジタル部署が、会社のエースを投入するポジションになるということです。

で、以下、引用。
—————
率直にいって、40代のメディア人はこれからかなり厳しくなると思います。
今の40代はいかにも中途半端だからです。
50代、60代ほどではないにして、紙への愛着が強く、紙のモデルが体に染みついており、ウェブなどの新しい動きは頭で理解できても体で感じることはできません。
さらに、40代中盤以上の人たちはバブルを経験しており、昭和モデルの中で生きてきたため、ブランド主義というか、いろんな意味で古いヒエラルキーを意識している人が多いように感じます。
—————

まあ、本書にもありますが、新しい業態に向かうにあたって最も有害なのは、古い世界の固定概念です。
「ネットよりリアルの方がエラい」とか、「年上に意見してはいけない」とか、「物事を進めるにはみんなのコンセンサスをとる」とかの思い込みが、大きな妨げであると言います。
そうではなく、部署や社、専門や国の垣根を越えて、誰とでもフラットに付き合う姿勢や、失敗を恐れずにまずはやってみようというようなマインドが、ネットの世界にフィットするわけですが、40代はそういったカルチャーになじめないのではないかというわけです。

これは、ネット革命が起きた時代背景の結果、そうなってしまったとしか言えませんね。
なので、年功序列にこだわってる場合でなく、早く30代以下にチャレンジの場を譲れというわけです。
ちなみに50代はもう完全な管理職として、いろんな責任ポジションに30代以下を登用すればよいと言います。

たしかに、40代ががんばるほどに、旧来システムからの脱皮が遅れそうだというのはわかる・・・と、一般論としては理解しつつも、僕も40代として「そこまで言われて黙ってられん」という気持ちもあるわけですね。

forty age

では、僕らの世代がこれからの業界に貢献していくにはどうしたらいいか?
実は、そんなに難しいことではないと思っています。
それは、これまでやってきたことを実績とせず、じゃんじゃん捨てて、どんどん新しいことをやっていくことかと。

僕の場合、途中からこの業界に入ってきたので、年のわりにはまだキャリアは12-3年といったところですが、それでも実績をじゃんじゃんリセットしています。
そうすると、イヤでも新しい領域に向き合うしかありません。
それは自分だけでなく、誰もやったことがないという意味での新しい領域です。
何が成功で何が失敗かもよく分からないので、失敗は怖くないし、へんな自尊心もカラッとなくなってしまいます。

そんな大人げないチャレンジが本気で楽しいと思えたとき、「中途半端」というポジションから抜け出せるのかもしれないなあと、そんなふうに思うのでした。
今日は、このへんで(^^

続編「ヤンキー主役の時代到来!」

前回のエントリー「ヤンキーが注目される3つの理由」に、たくさんのアクセスを頂き、ありがとうございました。
今回は、その続編でいきましょう。
もちろん今回も、あくまで、原田曜平さんの著書「ヤンキー経済」の内容紹介と、それに基づく僕の考えを整理するものです。

1.今のヤンキーの定義
ではもう一度、現代社会でやさしく進化したヤンキーについて復習してみましょう。
彼らの価値観は、とにかく「地元愛」です。
小中学校時代の友達と、ずっと変わらない関係を維持し続ける。
そのための就職、結婚、消費を選択して生活するため、上京志向がなく、生まれ育った場所から5キロ四方から出たがりません。
本書では、「都心で活動し、どんどん新しいライフステージに移行し、新しい友達を増やしていく人を、異質で脅威的な存在とみる」と述べられています。
都会に住んでいてもヤンキーも多いといいます。
東京で生まれても、その地元族となっている人は、同じくこのヤンキーに属するわけです。

2.ヤンキーの価値観
本書では、インタビュー調査によって、彼らヤンキーのさまざまな価値観を明らかにしています。
まず、「夢は、あと5万円、給料があがること」という現実的なものだそうです。
いわゆる「社会的成功」に興味がないどころか、昔のヤンキー、たとえば矢沢永吉さんが抱いていたような「ビッグになって成り上がる」的な成功欲もないといいます。

で、「イオンが夢の国」らしいです。
その夢の国は車で10分ぐらいのところにあります。
無印良品、ヴィレッジヴァンガード、ダイソー、家電のノジマなど生活品から、スタバ、サブウェイ、築地銀だこ、サンマルクカフェなどの飲食、マクドナルド、リンガーハットなどのフードコート、TSYTAYA、映画館などなど。
決して大げさでなく、彼らにとっての大型ショッピングモールは、消費生活を支えるだけでなく、「文化的な拠り所」たる極めて重要な存在とのことです。

それから「アニメ、キャラクター好き」です。
ヤンキーとアニメ、キャラクターは、一見違和感のある組合せのように見えますが、実は80年代から親和性が高かったといいます。
キティちゃん、なめ猫グッズはその代表選手。
また、ジャニーズ、松田聖子などのアイドル好きも関係しています。
90年代以降は、男性は「ONE PIECE」、女性は「ディズニーキャラクター」がその代表になります。
イオンの駐車場で、軽自動車の後部座席にディズニーなどのぬいぐるみを並べているか探してみましょう。
今では、「化物語」「涼宮ハルヒの憂鬱」「進撃の巨人」なども人気とのこと。
音楽は、EXILE、浜崎あゆみ、安室奈美恵がテッパンです。

ぬいぐるみ後部座席

一般的に今の若者は「車離れ」していると言われています。
でもヤンキーは、比較的、車を購入しているらしいです。
地元友達命の彼らにとって、車は単なる移動手段ではないからです。
本書では、「大事な地元の友達と親密な時間を過ごし、絆を育む空間であり、自宅リビングの延長」と表現されています。
実際には、軽のバンや小型車などを所有している人が多いのですが、「いずれはアルファードかエルグランドが欲しい」らしいです。
やっぱ、バンなんですね。

あと、ヤンママ、ヤンパパとなる彼らは、子供服に多くのお金を使うようです。
ブランド品を好む彼らは、子供をお揃いのブランド服を着てディズニーランドや地元の祭りに行って、周囲にアピールしたいようです。

そして前回も紹介したように、フェイスブックやツイッターを地元友達との連絡掲示板として、つまりLINEのように使うことも特徴です。
投稿を他の人に見られているという意識が低く、それが「コンビニ冷蔵庫写真事件」や「岩崎京也人気」などで表面化したりします。
本書では、ここ5年で普及したソーシャルメディアが、「昔より人間関係を大幅に広げた若者と、昔より狭い人間関係を密にする若者に分化した」と述べられています。

3.ヤンキー・マーケティング
彼らの消費の特徴は、知らないものを努力して知ろうとせず、かたくなに知っているものの中から選択しようとするとのことです。
本書に、こんなエピソードが紹介されています。
練馬区の地元族男性(とび職20才)にインタビュー調査をしていたところ、「旅行したいが航空券を買うのが面倒」と言うので、インタビュアーをした友達が「ネットで航空券が買えるよ」と教えたところ、かなり驚かれたそうです。
つまり、彼らはすでにある多くのサービスを「知らない」から利用していないわけです。

マス・マーケティングは、かなりのボリューム層である彼らを無視できなくなっています。
というか、もはや「マス=大衆」とは、彼らヤンキーを指す言葉になりつつあります。
飲食、生活用品、電化製品などのマス・プロダクトや、テレビ番組や映画などのマス向けコンテンツなど、すべては彼らの志向を第一に戦略構築されるべきなわけです。
その勘所を外した商品やサービスが世に出てしまうと、結果的に「消費離れ」を起こしているように見えてしまうのかもしれませんね。

ちなみに、僕自身は、マス・マーケティングの次のマーケティングを目指しています。
なので、彼らの価値観にはとっても興味あるのですが、「ヤンキーマーケティング」自体を仕事にしようとは思っておりません。
そのあたりご理解いただければと。
今日は、このへんでー(^^

「ヤンキー」が注目される3つの理由

昨年ぐらいから、「ヤンキー消費」に関する議論が盛んですね。
といっても、昔あったビーバップハイスクールのようなヤンキーではありません。
地元友達と家族ぐるみの付き合いで、ミニバンでEXILEを聞きながらイオンに行き、フードコートで食事する。
そんなやさしく進化したヤンキーが、実は消費やテレビ視聴率のカギを握る存在として注目されているんですね。

原田曜平さんの著書「ヤンキー経済」を読みましたが、その実態がよく分かり、とても勉強になりました。(ちょっと、彼らをあまりにも得体の知れないものとして扱い過ぎているので、ちょっと失礼かなとも思いつつ)
今後ますます、彼らがいろんなところで主役になっていくのは間違いなさそうです。
そのあたり、少し整理してみますね。

1.やっと正体が解明されつつある
実はこの層、ネットで行うマーケティング調査などに引っかかりにくいため、ボリューム層だと言われながら、実態解明がなかなか難しかったようです。
本書は、多くの調査員が知人の紹介をつてとして人海戦術を行ったとのことで、そのデータに価値があると思います。

本書では、今のヤンキーを2種類に分けて定義されています。
ひとつは、「残存ヤンキー」と言われる人たち。
昔ながらの悪羅悪羅(おらおら)的なところはありながらも、EXILE的なオシャレに身を包んでいます。
ただこちらは、絶滅危惧種のように減っているとのこと。

多いのはもうひとつの「地元族」と言われる人たち。
中学時代からの地元友達と家族ぐるみで付き合い、その関係を最も大切にしています。
そのため、生まれ育った地元の半径5キロくらいから絶対に出たくないらしいです。
就職も地元(地元企業からカラオケやパチンコ店員なども)、遊びも地元(イオンやラウンドワンなどの大型施設から近所の居酒屋や友達の家なども)、知らない人と同居する電車を嫌い、友達と一緒に乗れるミニバンで移動します。
これからのマーケティングでは、彼らの行動こそが注目されるべきというわけです。

2.消費の主役になっている
それは、なぜか?
都心の高感度層は、「コト」への消費、つまりカフェ代や飲み代、通信費などの出費を優先し「モノ」を買わなくなっていますが、彼らヤンキーは、車、タバコ、ブランド品、ショッピングモールでの買い物など、比較的「モノ」を買っているからだと言います。

彼らの価値観は、大きな野望をもって社会的な成功を手にするところにありません。
地元との友達関係をずっと変わらず維持していくところにあります。
そのための消費には、積極的だというわけです。
たとえば、友達がみんな乗れるミニバン、ビールではなく友達と一緒に飲むため焼酎のボトル買い、タバコ、パチンコ、パチスロ、ゲームセンター、キャラクターものや、ディズニーランド通いなどなど、など。

また、ITへの関心度が低いのも特徴とのこと。
スマホ所有率はあがっていますが(本書の調査対象では9割近くがスマホを所有していたと)、ガラケーとほぼ同じ使い方しかしていないのが実態です。
機種のデザインやブランドイメージ、細かい機能性へのこだわりは低く、「家族割り」が使えるかがキャリア選択のポイントになっているようです。

あと、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを、LINEのように仲間内だけのツールとして使っているのも特徴です。
本書にもありますが、本来SNSは、国や社会階層を飛び越えてつながりを広げることで、一般の人もレディーガガや孫正義さんと会話できることに意味があります。
彼らは、そんな思想とは真逆に、地元の友達との連絡掲示板として使っています。
彼らには、彼らのニーズがあるんですよね。
提供側が、そこに応えきれていないから、合わないサービスを無理に使っているのかも知れません。

3.これからの時代の「マス」になる
これは本書では述べられていませんが、正体が解明されつつあるヤンキー層は、相当なボリューム層で、消費だけでなく、あらゆるところで主役になっていくと思われます。

テレビの視聴率を見ていても、僕の周りではあまり見られていないものが、結構な数字を取っていたりするのは、彼らのおかげなのかもしれません。
選挙の投票率がふるいませんが、それも彼らの動向次第なのかもしれません。
もはや、「マス=大衆」とは、彼らを指す言葉になりつつあるわけです。
戦略として、ボリュームゾーンを獲るのなら、彼らをターゲットとしたマーケティングが優先されるべきです。
「若者の消費離れ」とは、つまるところ、彼らの志向を捉えきれていない商品やサービスが引き起こしているのかも知れませんね。

また、ヤンキーは、家族をつくることを大きな幸せとしています。
少子化と言われる世の中で、彼らには若くして複数の子供を授かる人も多いです。
そんな彼らの子供が、またヤンキーとして育ち、子供を増やしていくと、数十年後には日本の人口の大部分をヤンキーが占めることになりますね。
名実共にマスになる日が来るわけです。

さて最後に、本書にあるエピソードで、すごく面白いと思ったものを紹介します。
本書の調査を担当した女子(大学生)が、かつての友達である地元族に話を聞いていたところ、「お前は、もっと普通になった方がいい」と、説教されたと言います。
「地元友達を捨てて、大学の活動だけでなく、東京の企業や社会人と接して活動しているなんて理解できない。周りの地元の女子は、毎日EXILEの話で盛り上がり、地元の居酒屋で飲んでエンジョイしている。もっと地元の飲み会に顔を出して普通の女子に戻って欲しい」と、切実に語ったそうです。

そう、すでにそっち側が「普通」なんだなあと考えさせられる印象的な話でした。
今日は、このへんで(^^

※3/4追記:この記事、多くの方にお読みいただき有難うございます。
イラストは権利関係上掲載を外しました。ご了承ください。

あなたは「グロースハッカー」になれるか?

クリスマス前ではありますが、今日は、ちょっと同業者向けの話になりそうです。
というのは、日経BP社の新刊、ライアン・ホリデイ著の「グロースハッカー」を読んだからです。
僕たち広告やプロモーション、マーケティングに関わる人は、今後このグロースハッキングを意識しないと、淘汰されてしまいそうですね。

グロースハッカーという言葉は、少し前からシリコンバレーを中心に出てきたバズワードですが、狭義では「ITエンジニアとマーケターのハイブリッド」のようなイメージで使われていました。
つまり、コーディング能力と技術的な知識を備え持つ次世代マーケターのような感じです。

たとえば本書には、こういう定義がされています。
「グロースハッカーは、伝統的なマーケティング戦略を放棄し、検証・追跡・測定が可能なものだけを用いる。彼らの武器は、CMや宣伝や資金ではなく、電子メール、PPC(ペイパークリック)、ブログ、プラットフォームAPIだ。古い世代のマーケターが「ブランディング」や「マインドシェア」などの漠然としたものを追い回している間、グロースハッカーはひたすらユーザーと成長を追跡する」

そして、どんな業界のマーケターも、新製品の立ち上げでは派手な花火を打ち上げて「ショービジネスを気取りたがるが、そうした幻想は非常にまずい」と説かれています。
ショーが当たるかどうかわからない、当たっても何が要因かわからない。
そういったギャンブルは、とんでもなく非生産的だというわけです。

これは僕が著書「ロングエンゲージメント」で主張していた、「単発の花火を打ち上げる瞬発力より、データを駆使して顧客とつながり続ける持続力が重要になる」という考え方と同じだなとも思います。

マーケティングで一番やってはいけないことは、「誰も欲しがらないものを売ろうとすること」です。
でも、パッとしない製品やサービスでも、それを売り込んでこそ、マーケター(含む広告会社)の仕事であるというような、変に間違った思想もあったりします。
でも本来は、そこに気づいた時点で、製品やサービスの改善に立ち戻るべきなわけです。

本書では、宿泊予約のエアビーアンドビーや、ドロップボックス、エバーノートやインスタグラムなど、今をときめく成長企業が、ことあるごとに提供する製品やサービスに立ち戻って改善を続けてきた事例が提示されます。
本来は、そこまで含めてマーケター、つまりグロースハッカーの仕事というわけです。

そこが改善されたなら、広告やプロモーションは非常にシンプルになっていきます。
たとえば、エバーノートなどは、プロモーション以前に、まずは誰もがメモとして使いたいという次元にまで、徹底的に製品改善を行いました。
その上でユーザーからの「使いたいけど、打ち合わせ中ノートPCを開いていると上司などから睨まれる」という不満に耳を傾けます。
で、その解決策としてノートPCに貼ってもらうステッカー「失礼なわけではありません。エバーノートで議事録を書いているんです」というものを配布したわけです。

evernote stichers

こういったシンプルなアイデアを、広告やプロモーション、ましてやマーケティングなどと考えたくない人もいるかもしれません。
でも、常に事業を成長させるという使命を負っているのであれば、成長に役立つものが「製品やサービスそのものの最適化」であれ、「シンプルなアイデア」であれ、どうでもいいわけです。

ということで、グロースハッカーとは単に「ITエンジニアとマーケターのハイブリッド」を指すだけのものではありません。
文字通り、「成長請負人」というわけです。
本書にもありますが、「マーケティングとは顧客の獲得。そう考えれば、顧客を獲得するための行動すべてがマーケティングである」という当たり前の考えを、グロースハッカーというバズワードは再確認させてくれるわけですね。

ということで、これからの時代、旧来のマーケターもグロースハッカーになれるかどうかが問われます。
僕やあなたは、グロースハッカーになれるでしょうか?

もちろん、エンジニアとしてのコーディングのスキルなどは、ある程度あった方がいいでしょう。
でも本書では、もっと大事なことが記されています。
それは何も難しいことはではありません。

「グロースハッカーになれるか?それはマインドセット=考え方を変えられるかどうかに尽きる」と述べられているんですね。
うん、その通りだと思います。

ということで、今日は、このへんで。